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東京地方裁判所 昭和54年(ワ)7187号 判決

原告

リビング興業株式会社

右代表者

潮田卓夫

右訴訟代理人

村田豊治

被告

金秉受

右訴訟代理人

鈴木信司

主文

一  被告は、原告に対し、金四二八五万円及び内金三〇〇〇万円に対する昭和四九年八月三一日から、内金一二八五万円に対する昭和五〇年七月二一日から各支払済まで金一〇〇円につき一日金四銭の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

事実《省略》

理由

一〈証拠〉を総合すれば被告が代表取締役である有限会社丸藤商事は、昭和四八年七月九日、共栄物産から高崎市石原町字小坂山三一二四番一二畑二七一平方メートルほか一九筆の土地を代金一億二一三八万五〇〇〇円、同月一一日金三〇〇〇万円、同年八月中旬頃金六〇〇〇万円、同年一〇月末日残金をそれぞれ支払うとの約定で買い受けたが、被告は、右金三〇〇〇万円の支払にあてるため、原告から同額の金員を借り受けることとし、右売買契約当日、原告からその振出に係る金額金三〇〇〇万円の小切手の交付を受け、原告は、同年七月一一日、右小切手金の支払を了したこと、右貸金の弁済期については、当初、前記丸藤商事が買い受けた土地を他に転売したときと定められていたが、右土地売買契約は同年一一月中旬合意解除されたため、原告は、昭和四九年四月二二日、被告及び丸藤商事との間において、丸藤商事は共栄物産に対し、右土地売買契約解除に基づき支払済の金三〇〇〇万円の返還請求をし、これが解決されたときに、被告は原告に対し前記貸金債務の弁済をする、前記貸金の遅延損害金は金一〇〇円につき一日金四銭とする旨合意したこと、しかし、右返還請求交渉は行き詰り、その間共栄物産が倒産したため、丸藤商事は、同年八月三〇日、共栄物産を相手取つて、右金三〇〇〇万円の返還請求訴訟を提起して勝訴判決を受け、右判決は確定したこと、又、原告は、昭和四八年七月二〇日、被告に対し、金一二八五万円を弁済期は昭和五〇年七月二〇日、遅延損害金は金一〇〇円につき一日金四銭の約定で貸し渡したが、被告は、これを大韓民国における土地買入代金の支払にあてたこと、以上の事実が認められる。被告本人は、被告は、原告と共同して他から土地を買い受け、これを他に転売する共同事業契約を締結したものであり、〈証拠判断略〉。

右認定事実によれば、被告は、原告に対し、本件貸金合計金四二八五万円及び内金三〇〇〇万円に対する弁済期の翌日である昭和四九年八月三一日から、内金一二八五万円に対する弁済期の翌日である昭和五〇年七月二一日から各支払済までいずれも約定の金一〇〇円につき一日金四銭の割合による遅延損害金を支払う義務がある(なお、前記認定事実によれば、貸金三〇〇〇万円の弁済期は丸藤商事の共栄物産に対する売買代金内金三〇〇〇万円の返還請求が解決されたときと定められていることが明らかであるが、これは右返還請求が円満裡に解決されることを前提とした定めであり、当事者の意思としては、右返還請求が円満裡に解決することが不能であるときは、その不能が確定したときをもつて弁済期とすることをあわせ定めたものと解するのが相当であり、前記認定の経緯からすれば、丸藤商事が共栄物産を相手取つて前記返還訴訟を提起した昭和四九年八月三〇日に弁済期が到来したものと認めるのが相当である。)。

二よつて、原告の本訴請求は、いずれも理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(山口繁)

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